メッセージのやりとりは順調だった。相手は38歳のバツイチ女性で、看護師をしているという。お互いシングルだから気楽に会える。日程もすんなり決まった。
三宮の居酒屋で待ち合わせた。彼女はプロフィール写真よりもずっと綺麗だった。白いブラウスから覗く鎖骨が色っぽくて、僕は内心「今日はいける」と確信していた。
結論から言うと、この日は完全に失敗した。ホテルどころか、2軒目すら行けずに解散になった。
50代のおっさんが偉そうに出会い系のノウハウを語る前に、こういう恥ずかしい失敗談もちゃんと書いておくべきだと思う。
最初の1時間で僕が犯したミス
居酒屋に着いて、ビールで乾杯した。最初の15分くらいは普通に盛り上がった。お互いの仕事の話、離婚の経緯、子供のこと。会話は噛み合っていたし、彼女も楽しそうに笑っていた。
問題はここからだ。
僕は調子に乗って、自分の過去の出会い系体験を話し始めた。「前に会った女性がこうだった」「PCMAXではこういう出会いがあった」という話を、武勇伝のつもりで喋ってしまった。
彼女の表情が少しずつ硬くなっていったのに、僕は気づかなかった。
今思えば、初対面の女性に「他の女性と会った話」をするのは最悪の選択だ。彼女からすれば「この人は女をとっかえひっかえしているんだ」としか聞こえない。安心感の真逆だ。
もう一つのミスは、彼女の話を聞く姿勢が足りなかったこと。僕が7割くらい喋っていたと思う。看護師の仕事の大変さとか、夜勤明けの疲れとか、彼女が話したそうにしていたのに、僕は自分の話に夢中だった。
「今日はここで」と言われた瞬間
2時間ほど飲んで、僕が「もう1軒行きましょうか」と誘った時、彼女はこう言った。
「ごめんなさい、明日早番なので今日はここで失礼しますね」
表情は笑顔だったけれど、目が笑っていなかった。社交辞令だとすぐにわかった。
駅まで送っていく間、会話はほとんどなかった。改札の前で「今日はありがとうございました」と言われて、それきりだった。翌日メッセージを送ったけれど、既読スルーだった。
家に帰ってから、ベッドの中で天井を見つめて考えた。何がダメだったのか。
失敗の原因を分析して気づいたこと
冷静に振り返ると、原因は3つあった。
(1) 他の女性の話をした。これは致命的。女性は「私だけを見てほしい」と思っている。たとえ出会い系の場であっても、他の女性の影がちらつくと一気に冷める。
(2) 自分が喋りすぎた。緊張すると人はよく喋る。僕は緊張を隠すために、ひたすら話し続けてしまった。でも女性が求めているのは、面白い話を聟くことじゃない。自分の話を聞いてもらえる安心感だ。
(3) 焦りが態度に出ていた。「今日はいける」という下心が、無意識のうちに態度に出ていたのだと思う。彼女のグラスが空くたびにすぐ注文したり、距離を詰めようとしたり。女性はそういう焦りに敏感だ。
この失敗の後、やり方を変えた結果
この失敗から、僕は初デートのやり方を完全に変えた。
まず、初デートでは自分の過去の出会い話は絶対にしないと決めた。聞かれたら「出会い系は最近始めたばかりで」とだけ答える。嘘ではある。でも、最初のデートで正直に全てを話す必要はない。
それから、会話の比率を意識するようにした。理想は自分が3割で相手が7割くらいだ。相手に気持ちよく話してもらう。聞き上手になることが、50代のおっさんにとって最大の武器だと気づいた。
質問の仕方も変えた。「お仕事は何されてるんですか?」みたいな面接的な質問ではなく、「夜勤明けって何食べたくなりますか?」みたいな、日常に寄り添った質問をするようにした。こっちのほうが女性はリラックスして話してくれる。
そして一番大きな変化は、初デートでホテルに行くことを「ゴール」にしなくなったことだ。
初デートのゴールは「次も会いたい」と思ってもらうこと。それだけに集中するようにした。すると不思議なことに、焦りが消えて自然体でいられるようになった。
やり方を変えた後の初デート
失敗から2週間後、別の女性と初デートをした。41歳の既婚女性で、旦那とはもう3年以上レスだという。
僕は聞き役に徹した。彼女の仕事の悩みや旦那との関係、週末の過ごし方について、ひたすら聞いた。僕は相槌を打ちながら、時々「それ、しんどいですよね」と共感を挟んだ。
2時間くらい経った頃、彼女のほうから僕の腕に手を置いてきた。
「キヨシさんって、すごく話しやすいですね。こんなに自分のこと喋ったの久しぶりです」
この瞬間、前回の失敗との違いを強烈に実感した。前回は僕が喋りまくって壁を作った。今回は僕が黙ることで、彼女のほうから距離を縮めてきた。
「もう少し一緒にいたいんですけど…」
彼女がそう言った時、僕は心の中でガッツポーズをした。でも、ここで焦ったら前回の二の舞だ。
「僕も。でも今日はお互い仕事もあるし、次はもっとゆっくり会いませんか?」
あえて初回はここで引いた。彼女は少し残念そうな顔をしたけれど、「ぜひ。次が楽しみです」と笑顔で帰っていった。
2回目のデートは翌週の土曜日に決まった。今度は昼から会って、神戸の街を歩いた。夕方にはお互いの距離はぐっと近づいていて、彼女のほうから「ホテル、行きませんか」と言ってきた。
部屋に入った瞬間、彼女は僕の胸に顔を埋めて「ずっとこうしたかった」と呟いた。3年間のレスで溜まっていたものが溢れ出すように、彼女は激しく求めてきた。シャワーを浴びる余裕もなく、入り口近くのソファで抱き合った。
彼女の肌は41歳とは思えないほど張りがあって、腰のくびれに手を添えると小さく喘いだ。耳元で「もっと強く抱いて」と囁かれた時、前回の失敗なんて完全に吹き飛んでいた。
まとめ
初デートでの失敗は、出会い系を続けていれば誰でも経験する。僕の場合は「自分の話をしすぎた」「他の女性の話をした」「焦りが態度に出た」の3つが原因だった。
この失敗から学んだのは、初デートの主役は自分ではなく相手だということだ。聞き役に回って、相手に気持ちよく話してもらう。それだけで女性との距離は劇的に縮まる。
50代のおっさんが20代の頃のようにガツガツいっても、女性は引くだけだ。大人の余裕を見せること。焦らないこと。初デートでホテルに行けなくても、2回目に繋げれば結果はついてくる。
僕はこの失敗がなければ、今でもテンプレ通りのデートを繰り返して空振りし続けていたと思う。失敗は財産だ。出会い系で結果が出ない人は、自分の失敗パターンを冷静に分析してみてほしい。
